一の巻

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「人ってのはね、誰だって間違えるんだよ。間違えない方がおかしいぐらいさ。」 「そう、ですね…」     「でもね、それがわかってても、人はその事を後悔する。間違えなければ、ああしてれば、ってね」     女は黙っていた     「あんたは後悔してるのかい?」 「……かもしれません」     そう答えた女に芙蓉は笑って答えた     「そっか、わからなくなっちまったんだね。」 「…………」     風がふく。芙蓉の袖がゆれるのに、女の袖はゆれなかった。     「ダメだよ、自分が正しいって思ったならそれを通さなきゃ。だからこんな風になっちゃうんだよ」 「でも!!」 「人がなんと言おうと関係ないよ。だってあんたがやった事なんだろ?他人にとやかくいわれたってそりゃあんたの責任さ」     うつむく女に手を差し伸べた    
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