ピンチはチャンス

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ちょっと待って? 自作自演って… じゃあ葵くんが私をあの宝石店へ連れて行ったのも、指輪をはめたのも、写真を撮られたのも… 全部計算だってこと? 「ま…まさか…」 私は心が寝転がる隣に、ストンと腰を下ろした。 「だって…私と写真撮られて何のメリットがあるの?」 「桃しかないだろ」 「え?」 「たぶんあいつ彼女なんていねぇよ。 桃と写真さえ撮られて会見開けば、いくら無名の桃が否定しても、そんなのマスコミは取り上げない。 既成事実を作って、桃とうまいこといけばいいと思ってんじゃない?」 葵くんが私と? 確かに私のファンだとは言ってたけど… 社交辞令だとばかり… うなるように考え込む私を見て、心が上半身を起こし、つけていた洒落たネクタイをはずした。 そしてそれを私の両手首に結び、きつくくくった。 「…何?」 はずそうと試みたけど、きつく結ばれたネクタイはビクともせず、身動きが取れない。
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