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心はそのまま私の腕を引っ張って、優しくベッドに寝かせた。
腕が動かないと、こんなにも体は言うことをきかないんだと、内心少し焦る。
私の胸は高鳴るばかり。
でもそれとは裏腹に、心は私を見つめて、髪をなでるだけだった。
「…こうやってどっかに縛り付けておけたらいいのにな。
そしたら誰も桃を見ない。
桃はどこへも行けない。
ずっと俺だけの桃になるのに」
心の気持ちはとても大きくて、私の気持ちはそれよりも大きくて…
なのにどうして不安って尽きないんだろう。
見ることの出来ない相手の世界がどんなものか分からないから、怖くて仕方ないよ。
「…心、これはずして?
じゃないと抱きつけないよ…」
すると心は首を横に振った。
「無理。
…俺が抱きしめるから」
心の体に強く包まれながら、絶対に離れたくないと思った。
これからしばらく会えないことを考えると、何だか気が遠くなってしまうけど。
社長やみんなに言ってくれたことを励みに頑張ろう。
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