格差社会

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「わー!! 本物の桃ちゃんだぁ!!」 えっえっ?! 私が驚いてその手を振りほどき振り返ると、そこには何とドラマなどでも活躍中の若手俳優、中西葵(なかにしあおい)の姿が。 「姫野桃子ちゃん、 俺の妹が大ファンでさ。 一緒に仕事してくれってうるさかったんだよね。 後で写真撮ってくれる?」 私は何度も頷いた。 「こ…こちらこそ! すごく光栄です!」 そう言うと、中西さんは優しく微笑んでくれる。 やっぱり生で見るとすっごいかっこいいっ! まぁ…心には負けるけど♪ 「…おい」 まるで地響きのような、重低音をきかせた声で心がつぶやいた。 「さっさと打ち合わせから始めようぜ。 日が暮れる」 「はーい」 中西さんはそう言って大きく伸びをした。 何よその言い方… 偉そうにしちゃって。 私が心の方を見て少しむくれていると、中西さんがこっそり耳打ちしてきた。 「心さんは仕事では厳しいけど、実はすごく優しい先輩だから。 気にしなくていいよ」 「…はい」 心って慕われてるんだ。 何か安心した。
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