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ああ、神様。私が一体何をしたというのでしょうか。
空を見上げ、何事かごちりながら森の中を歩く一人の少女。歳は十二といったところか。どこか大人びた表情からは哀愁が漂っている。
そんな少女のすぐ斜め後ろに、大きな影があった。
少女の二倍はあろうかと思われるその影は、ピタリと後ろに貼り付くように後に続いていた。
少女は大きく溜め息をつくと、その影を睨み付けた。影はそれに気付くと、満面の笑みを寄越して返した。
少女は、再び溜め息をついた。
首都を離れて早一ヶ月。現在のところ主立った目的地があるわけでも無く、このむかつく旅の同伴者とも何とか事なかれ的な状況下にあった。
二人が歩いている森には道があり、お世辞にも舗装されたとは言えない石畳も敷かれていた。森の中は深く暗い、というわけでもなく、木漏れ日のあるとても心穏やかになる場所ではあった。
爽やかな風が森の囁きのようで少女の心を落ち着かせてくれる。それが唯一の救いであった。
そうでなければこの暑苦しいほど貼りついてくる男を剣一閃、薙ぎ払っていてもおかしくはない。
たとえ神様がそれを許してくれなくても一向に構わない。
いや、むしろ神様もこいつを殺したって何とも思わないかもしれない。
少女の怒りの臨界点は既に越えそうだった。
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