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(ああ…またこの夢だ…
最近ずっとこの夢ばかりだ。忌まわしい私の過去の記憶…
黒い大きな影が私の家を破壊する…あの影は巨大なドラゴン…?いや、ただのドラゴンよりもっと強く巨大でその気配は悪魔なんか比較にならないくらい禍々しい
家を破壊したアイツは家族をゆっくりと喰らってゆく…
ふと私とアイツの目が合った
殺られる…!私はそう覚悟したがアイツは私を無視し私の家族を喰らい続けた
そうして私以外を破壊し喰らい尽くしたアイツは飛び去った
私は呆然としたままその場に一人取り残され…
なぜ私は生き残れたのか?今でもわからない…
一つわかるのは目が合った時にアイツは笑った
恐怖で震える私を見て確かに笑ったのだ
いつも夢はそこで終わる…なぜ私だけ助かったのか…)
「もう朝…仕事の時間ね…」
窓から朝陽の射す部屋で女は目覚め出掛ける準備を始めた
物語の舞台はミルディア大陸
二年前、この大陸を支配していたヴァルゼリアの王ガルヴィウスの死をきっかけに世界は荒れ始めた
北のバルディウス、東のラズエル、西のアーカイル、南のカイリア
彼女はバルディウス王国の密偵として働いている
「今回の仕事は成功すれば戦争の終わりに一歩近づく。頼んだぞクレイン…」
「ええ、わかったわ」
クレインと呼ばれた女の目の前にいる男はバーンス
彼は国が彼女に仕事を依頼する時の連絡役で片方の目を失っており何かを企んでいるような空気を出している
そんな彼がクレインに依頼した仕事はある人物の誘拐及び暗殺であった
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