1章:転校初日

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「やっべぇ! もうこんな時間かよ!」 慌てて準備を済ます華音。 朝飯も食べずに、そのまま部屋を出る。 「…行ってきます……」 自分以外は住んではいない部屋なのに、そう言う華音。 その表情は、どこか悲しげに見えた。 「不味いな、『アレ』を使わないと完璧に遅刻だな」 普段、滅多に使うことのない代物。 アパートの駐輪場に止められた『バイク』。 ガソリンタンクに富士日章のペイントが施されたバイクで、製品名はZⅡ。 これで行けば学園には間に合う。 しかし、自分が暴走族であることがバレてしまう。 頭を振り、誘惑を振り払う。 バレる。それだけは避けなければならない。 仮にも、元皇帝の初代総長の証でもある富士日章のZⅡ。 バレなくても、目を付けられてしまうかもしれない。 そうするとボロが出てしまう。 自分が我慢など出来る筈がない。
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