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女が困ったように答える。
既に足が震えているのが、華音にも分かった。
しかし、男達の誘いは止まらず、しつこく言い寄って来る。
その光景を見ていて、華音の表情が険しくなる。
こういうのは嫌いだ。軽い気持ちで女を口説く。
それは、華音にとっては最低の行動。
見ているだけで虫酸が走る。
―――殺してしまおうか。
一瞬、そんな思考が華音の脳裏に走った。
それはいけない、こんな所でバレてしまうのは最悪だ。
ただ平穏に暮らしたい。
それが華音の願い。
「なんだよ、奢ってやるって言ってんだから付いて来いよ!」
金髪で短髪の男が、痺れを切らしたのか、顔が引きつり、強引に女の腕を引っ張る。
ドレッドヘアーの男は、それを止める様子はない。
女の顔が苦痛の表情になる。
「いっ、痛いです! 止めてください…」
「いいから来いよ! 大人しく言うこと聞けばいいんだよ!」
ーープチッ
華音の頭の中で何かが音をたてて切れた。
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