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そこまで言うと、少女は大人しくなった。
桜並木を走り続け、校門までたどり着いた。
少女は息を切らしたのか、呼吸が荒くなっている。
しかし、一方の華音は息を切らした様子は無く、特に疲れてはない。
「すまん、大丈夫か?」
「あっ! いえ、大丈夫ですっ! はい! ありがとうございます…」
戸惑ったように返事をする少女。
アタフタと両手を、ジェスチャーの様に振っている姿は。どこか幼く見えて、とても可愛いと華音は感じてしまった。
「いや…、気にするな……俺が勝手にしたことだ。それより頼みがある」
「な、何ですか?」
先ほどの出来事を考えると、この少年も恐いのかも。と思ってしまい、少し裏声になってしまった。
さっきと同じ人種なのかも、でも助けてくれたし。やっぱりいい人なのかな……でも、頼みって。もしかして、あんな事や、こんな事かも………。でも助けてくれた、いい人だ。
などという、思考の螺旋に少女はハマってしまった。
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