404人が本棚に入れています
本棚に追加
それに、どの道学園に入れば、名前は明かされる。
普通に過ごしていれば、誰もあの『皇帝(エンペラー)初代総長』の早瀬 華音だとは気付かないだろう。
そこまで考えるのに僅か0.5秒。
頭が良いのは健在な為、余りそっち方面では困る事はない。
華音の顔を伺うような仕草で、少女は答えを待つ。
いわゆる『上目遣い』で…。
まぁ良いだろう。名前ぐらいは。
「早瀬……早瀬 華音だ。お前の名前は、なんて言うんだ?」
「私は、小柳 美咲です。改めて、先ほどはありがとうございました。助かりました」
ペコリと頭を下げる美咲。
それだけなのに、また華音の胸は暖かくなる。
何故なんだろう。
華音は思考を巡らし、胸に手を当てても、答えは返って来なかった。
キーン…コーン…カーン…コーン
校門でノンビリしていると、学園のお決まりなチャイムがなり始めた。
最初のコメントを投稿しよう!