1章:転校初日

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吹っ切った筈なのにな、と感傷に浸りながらそっと囁いた。 時は確実に時間を刻んでいる。 全てが思い出に変わってしまった。 華音は、一人、世界に取り残された気分になった。 そうしているうちに、屋上にたどり着いた。 着いて早々に、春の陽気に打たれ華音に眠気が襲った。 屋上の横に設けられた梯子を登り、貯水タンクの横で仰向けになる。 太陽の光が眩しく、自然に目を細め、右手で光を遮った。 華音はとても穏やかな気分になった。 しかし、それも束の間。 「き、きゃぁああああ!!」 上から声が聞こえきて、同時に人が落ちてきた。 「はぁっ!?」 華音はいち早く反応し、落ちてきた人を両手で受け止めた。
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