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暴走機関車。
そんな単語が華音の頭の中で浮かび上がった。
名前も分からない女性は、五分足らずで結婚話まで話を飛躍させている。
このままほっといたら、どこまで話は進むだろう。
華音は、ちょっとだけ、そんな好奇心が沸いてしまった。
自称『夢見る乙女』とは『白神 遊璃(しらかみ ゆり)』の事。
今日も遊璃は、自分のお気に入りの場所、屋上のさらに上に位置する、貯水タンクの上で毎日の日課『出逢いの女神様にお祈り』を行っていた。
いつもなら授業が始まるまでに終わる『お祈り』だが。
なぜだか今日は、良いことが起きると遊璃の中で勝手に決めつけ、授業が始まってめ『お祈り』を続けていた。
「出逢いの女神様。お願いです。どうか私に、素敵な王子様と、運命的なめぐり逢いをさせて下さい」
他の人から見たら馬鹿げてる、と思われるが、本人は至って真面目だった。
真摯な願いも、ここまで来ると叶えたくなってしまう、と『出逢いの女神様』は思ったのか、それとも本当に運命なのか。
どちらにせよ出逢いのキッカケは起きた。
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