2章:妄想女性まかり通る

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そんなこんなで今に至る。 「そういえば、名前を言い忘れてました。私は『白神 遊璃』です! 王子様の名前はなんて言うんですか?」 例えるなら、それは向日葵のような笑顔。 なんの屈託もない、心からの喜びをそのまま表した笑顔。 その笑顔が、華音には眩しくて仕方なかった。 穢れを知らない少女。この世の淀んだ部分を知らないで育たなければ、こうはならない。 一瞬でも、そんな遊璃の笑顔に嫉妬してしまった自分が、華音は恥ずかしがった。 『あの事件』から自分は、心の底から笑った事があっただろうか。 否、一度たりとも、ありはしなかった。 しかし、華音の中に後悔の念は無かった。 自分は良かれと思いやったのだから、後悔はしない、してはいけないのだ。 自然と、華音の表情に影が刺した。 「王子様? どうしたのです…? ……王子様!?」 遊璃に怒鳴られ、意識が戻った華音は、ハッとして遊璃に視線を向けた。 名前か…そういえば、言ってなかったな。と華音は囁いた。 「『早瀬 華音』だ。それと、俺を王子様と呼ぶのは止めろ…。そんな性分じゃない」
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