序章:早瀬 華音

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社会のレールから外れたのには理由があった。 昔から華音は頭が良く、それでいて優しく、ちょっと抜けている男で、みんなから好かれていた。 「早瀬君、ちょっといいかな? 菜美から話があるらしいんだけど」 勿論、容姿が良いためこういう事も多々あった。 いつもだが、正直、華音は困っていた。 これは明らかに、その菜美と言う女性からの告白。 いったい自分のどこが良いのか。 そう考えて華音は、自分を呼び出す女性に 見られないようにコッソリため息を吐く。 「わかった、何の用?」 出来るだけ早く済むように、優しい笑顔で返答し、言いやすくさせる。 それを見て、菜美と言う女性はただでさえ赤く染まった顔を、更に赤くしる。 「えっと…その、私……は、早瀬君のことが……」 「俺のことが?」 菜美は大きく深呼吸し、自分を落ち着かせる。 そして真正面から、華音の顔を見据える。 「好きです! 私と付き合って下さい!」 顔を真っ赤にして菜美は言った。 自分の一世一代の大勝負だった。 今まで何人もの人が敗れ去った程、華音は誰も受け入れないのだ。
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