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社会のレールから外れたのには理由があった。
昔から華音は頭が良く、それでいて優しく、ちょっと抜けている男で、みんなから好かれていた。
「早瀬君、ちょっといいかな? 菜美から話があるらしいんだけど」
勿論、容姿が良いためこういう事も多々あった。
いつもだが、正直、華音は困っていた。
これは明らかに、その菜美と言う女性からの告白。
いったい自分のどこが良いのか。
そう考えて華音は、自分を呼び出す女性に 見られないようにコッソリため息を吐く。
「わかった、何の用?」
出来るだけ早く済むように、優しい笑顔で返答し、言いやすくさせる。
それを見て、菜美と言う女性はただでさえ赤く染まった顔を、更に赤くしる。
「えっと…その、私……は、早瀬君のことが……」
「俺のことが?」
菜美は大きく深呼吸し、自分を落ち着かせる。
そして真正面から、華音の顔を見据える。
「好きです! 私と付き合って下さい!」
顔を真っ赤にして菜美は言った。
自分の一世一代の大勝負だった。
今まで何人もの人が敗れ去った程、華音は誰も受け入れないのだ。
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