序章:早瀬 華音

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案の定、華音の口から出た答えは。 「ごめん。気持ちは嬉しいんだけど……」 拒絶の意志だった。 「……っ!」 最後まで返事を聞かず、菜美は華音の前から走り去った。 側に付いていた女性も、それを見るなり、慌てて菜美を追いかける。 「ちょっと菜美! 待ってよぉ!」 女子に泣かれるのはよくあった。 逆恨みされたり。返事も聞かずビンタされる事もあった。 なぜ自分には人を愛する感情が無いのだろう。 時々そう思って止まない時がある。 友達が言う、胸を焦がす様な恋っていうのが分からない。 華音は、人を愛する感情が欠落しているのだ。 冷たい奴と言う人もいた。 それでも仕方ない。分からないものは分からないのだから。 自分そう言い聞かせて、逃げていた。
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