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「また、泣かせてしまったな」
その囁きは、辛く儚い囁きだった。
品行方正の華音が不良になった訳、それはその後の事件が発端だった。
授業が終わり、友達と別れ家に帰宅した時、事件は起きた。
「ただいま~………っ!」
玄関を開けた瞬間に分かった、明らかな腐臭に。
何かが腐ったような物と、血の臭いに、華音は思わず鼻をつまんでしまった。
吐き気が華音の体をダルくする。
「なんだ? この臭い。それにこれは、血…なのか?」
廊下からリビングに向かって、おびただしい量の血が流れていた。
華音はリビングに向け、震える足を動かした。
玄関からリビングはたいした距離ではない。
しかし、華音には歩いている間の時間が永遠ものように感じてしょうがなかった。
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