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柄原さんに会ったのは、駅のホームだった。
仲島さんといい加藤さんといい、私と知り合う人は皆危ういのだろうか、と思い込んでしまう。
「息子さんが誘拐されたんですか?」
仲島さんは唐突に言った。目をやると、いつの間にかベンチに座って隣のおじさんに話し掛けていた。
おじさんはやつれた顔を勢いよく上げた。仲島さんは取り澄ましたような、それでも真剣そうな表情を崩さない。
あんな人に突然話し掛けられたら、動揺するだろう。
いや、問題は内容か。
いつものことだ、と私は溜め息をつく。
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