0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「うるせえ。あのな、人が殺せるってことは、神を殺せるってことなんだよ」
「は?」
私は身体の奥深くから声を出した。仲島さんは嬉しそうに笑い、芝居掛かった仕種で人差し指を立てた。
「神を殺すのは簡単だろう」
「人も簡単に死ぬんだろ?お前には簡単なことしかないのか」
加藤さんは漸く笑った。仲島さんと同い年の筈なのに、渋い。老け込んでいるのかもしれないし、疲れているのかもしれない。目付きはまるで憑かれているかのようだ。
「やろう、と思う決意と暇と金さえあれば大低のことは簡単だ。神だって殺せる」
「どうやるんですか?」
「信者を全員ぶっ殺せばいいんだ」
結局それかよ。私は呆れ笑いを浮かべた。
端から聞けば、仲島さんは相当怪しい人に見えただろう。
「単純だなあ」
私の言葉が不服だったのか、仲島さんは口をへの字にした。
「単純なこと程考えないんだよ、誰も」
.
最初のコメントを投稿しよう!