★いつもの日常☆

7/8
前へ
/8ページ
次へ
四時間目が終わったら、 決まって一人で屋上で お弁当を食べる。ここの学校 の屋上は梯子がなくては超え らないのでなかなか皆登ら ない。あたしはいつもどうし てるかと言うと、近くに置い てあるゴミ箱を台にし、 ジャンプして屋上に続く柱を 掴んで蓋を開けて登るのだ。 まだ誰にも見つかったことが ない。あたしだけの秘密基地。 タイルに座り込んでお弁当の 蓋を開けた。ところが中身は 空っぽで米粒が一つもない。 あたしは即座に犯人の顔が 思い浮かんだ。きっと二時間目 の休み時間にトイレへ行った 時に中身を出したのだろう。 まぁ、いつものことなんだが。 でも今日はいつもと違って お腹が空いた。薬だって 飲まないといけないのにと 心の中で文句を言った。 仕方がなくあたしはお弁当箱を 横に置いてその場に寝転んだ。 9月でもまだ太陽は照って暑い のだが、不思議とここは風通し がよくてすごく気持ちがいい。 ニョキニョキと動く雲を見てい たら、今までのことが忘れ 去ってくれるんじゃないかと 思う。 秋に向かおうとしているのに 何故か春の匂いがする。気持ち よくて、暖かい風……。 あたしの目はだんだん瞼を閉じ ていき、そのまま深く深く 死んだように寝た。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加