徘徊(廃界)

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『なあ、亜』 『なんだよ・・・』 止まった時間。止まった人間。止まった空間。 ここは死で溢れている。 喰われ、操られ、そして、 すり替わられて。 『俺、五歳だよなっ?で、亜は俺の一個上の六歳!』 『だからそれがどうした?』 僕は口の回りの血を拭う。 衣と“え”と“お”はこの“創造者”達の研究所の外に居た。 僕も外に行こうとしたところを・・・呼び止められた。 『この体型どうよ?初めてなんだけど、女になるの』 僕の前には僕の足元にいる女がいた。 立っていた。 『ちょっと顔歪んでるぞ 宇』 『あーっ、あーっ、あーっ、あーっ、よし、声はこれで良いかな? いいんだよ、こいつらなんてもともと歪んでんだから』 『・・・・・・』 『こちら、あ行サード宇。アルファベットU。“歪んだ仮面”(ヒズミ)、略称“死面”(ディギャップ) お前は俺、どいつもこいつも俺だ。 だから死ね』
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