第1話

2/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
舞い散る桜唄 桜咲く季節。 そんな時、アイツにあったんだ。 桜の木を哀しそうな顔で見るアイツを。 俺、アイツを知っている。アイツは…確か…。 「如月、亜莉菜…」 「ッ!!」 あ、つい口に出しちまった…。 如月は、驚いた顔をして俺を見る。 「…………宮…田…君…?」 如月は俺を見ていた。 その瞳が綺麗だと感じた。 中学1年から一緒のクラスだったけど、一度も喋った事が無かったんだ。 今、中3。3年間ずっと一緒のクラス。 「…桜に何か思い出があんのか?」 「………桜…って訳じゃ無いけどね」 如月はそう苦笑った。その笑顔がとても無理している様だった。 俺は、どうしてそんな顔をするのだろうかと想った。 「春っていう季節は…私にとって嫌いな季節なの」 「………?」 哀しそうにまた桜の木を見詰める。 その顔を見てるだけで、俺まで哀しくなってきた。 「ま、こんな事、君に言っても仕方ないけどね」 俺を見てまた、哀しそうに笑う如月。 そう、これが俺達の出会いだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!