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舞い散る桜唄
桜咲く季節。
そんな時、アイツにあったんだ。
桜の木を哀しそうな顔で見るアイツを。
俺、アイツを知っている。アイツは…確か…。
「如月、亜莉菜…」
「ッ!!」
あ、つい口に出しちまった…。
如月は、驚いた顔をして俺を見る。
「…………宮…田…君…?」
如月は俺を見ていた。
その瞳が綺麗だと感じた。
中学1年から一緒のクラスだったけど、一度も喋った事が無かったんだ。
今、中3。3年間ずっと一緒のクラス。
「…桜に何か思い出があんのか?」
「………桜…って訳じゃ無いけどね」
如月はそう苦笑った。その笑顔がとても無理している様だった。
俺は、どうしてそんな顔をするのだろうかと想った。
「春っていう季節は…私にとって嫌いな季節なの」
「………?」
哀しそうにまた桜の木を見詰める。
その顔を見てるだけで、俺まで哀しくなってきた。
「ま、こんな事、君に言っても仕方ないけどね」
俺を見てまた、哀しそうに笑う如月。
そう、これが俺達の出会いだった。
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