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「やッ…来ないで…、宮田君…こ、ないで」
来ないでと言われても…。
...トンッ
「ッ!?」
如月の後ろに木が立ちふさがり、それ以上後ろに下がれないのを見た俺はそのチャンスを逃すことなく如月との距離を縮めた。
如月は身体を強張らせたが、俺は優しく如月を抱き締めた。
「!?」
何故、こんな事したのか、俺自身分からなかった。
だけど、俺には如月が、如月の瞳が助けを求めてる様に見えた。
「大丈夫だぜ、亜莉菜」
俺で亜莉菜を助けられるなら、絶対、助けてやる。
だから、そんな辛そうな顔すんなよ。
こっちも辛くなるから。
「俺じゃあ、役不足かもしれない。でも、相談ぐらいなら、俺にも出来るぜ?」
如月の肩が震えていた。
少しでも力を加えると壊れそうな…そんな肩。
「……宮…田………君…」
震えている声、泣くの我慢してんだろうな…。
「聞いて…くれる…?私の話…」
やっぱり、訳ありだったんだな。
俺は返事の代わりに強く抱き締めた。
「私…ね?もうじき…死ぬんだ…」
「ッ!!」
言葉が出なかった。
いきなり、そんな事言われて…。
「分かるんだ…。この命が…段々…消えかかっているの…」
そんなッ…。
何で…。
「病気…なんだ…」
「…治んねーのかよ」
亜莉菜は小さく頷いた。
日本の医学は、そんなもんなのかよ…。
何で…亜莉菜が…。
「私ね…小さい時両親が、交通事故で死んだの…」
亜莉菜の過去。
初めて聞く過去。
俺は、これを聞いて後悔なんて…しなかった。
むしろ、お前を護りたいとそう想った。
護りたいんだ…何があっても。
例え、その命が残り少なくても。
一緒に居たい…。それが、俺の正直なキモチなんだ…。
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