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「え?なんで僕が止めるって知ってるんですか?」
「あなたの力がどうかは知らないけど、私の場合は全ての人の時間を一時間だけ動かせるの」
「え?」
「ほら、あなたが私を助けたと思いこんでいる時間は、実はまだ来てないのよ。
後一時間後、あなたが私を助けたと思い込んでいる時間になるから。
そしたら私はあそこから飛び降りるわ。
だから今度は止めないで。
たとえ止めても、こうしてまた時間を戻すから。
もしその度に助けたら、あなたはずっと、同じ日の同じ一時間を繰り返すだけの毎日になるわよ」
「え?」
「特別な力を持っているのは自分だけではないってことをしっかり覚えておいて。
自分だけが特別だなんて勘違いしないで。
他にも同じような力を持っている人がいるんじゃないかって想像力を働かせて。
それと、能力を持っている人がすべからくあなたのように喜んでいるとは思わないで。
少なくとも私はもう嫌気が差したの」
「はい?」
「いいわね、忠告したわよ」
「はい」
「それじゃ死んでくるわ」
ドスン。
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