タイムトリップその1

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正しく絵に描いたような転落人生だ。 最後の着地点は飛び降りた先にあるアスファルトだ。これ以上ない転落っぷりだ。涙すら出てこない。 さあ、迷いが生まれないうちにさっさと飛び降りよう。 もしこんなところでぐずぐずしているのが誰かに見つかりでもしたら、面倒なことになりそうだし。 落ちている最中にポケットの中身が散乱しても格好悪いし、すぐに身元が判明しないと警察も大変だろうから、いらない荷物はここに置いておこう。 と言っても、財布とケータイぐらいしかないか。 まったく、こんな小さいことにいちいち気を使ったりしてるから、人の借金を背負わされたりしちゃったんだろうな。 我ながら、お人好しにも程があったんだろうな。もう死ぬから関係ないけど。 じゃあ靴と財布とケータイはここに揃えておこう。 あれ、メールだ。しかも2件も。 まったくこれから死のうっていうのに人の都合も考えずに。 よし、財布の中の免許証があれば身元は分かるし、ケータイはなくても大丈夫だろう。 飛び降りながらメールでもチェックしてみるか。 今どきっぽくてなかなか格好いい気もするし。 さようなら、つまらない人生。
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