可愛い嫉妬

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――キーンコーンカーンコーン―― 「……はタンパク質と何でできているか?」 あたしはクラスの男子2人とテスト前なので、問題の出し合いをしていた。 あたしはもっぱら答える方。 「アミノ酸、だっけか?」 「違うよ。えっと、DNAじゃない?」 「正解」 「どっちだよ?」 「お前じゃねぇよ」 「やった。あたし?」 「そぅそぅ」 こうやって楽しみながらのテスト勉強も悪くない。 「玲美先輩」 そんな中であたしを呼ぶ声が聞こえた。 あたしは廊下側一番前の席なので、すぐ隣の出入口を見る。 「葉じゃん。どうしたの?」 あたしは自分の1つ年下の彼氏の所へ歩み寄る。 教室を出て、廊下に行く。 「今日からテスト期間で部活ないので、帰りどうしようかと思いまして」 あぁ、そのためにわざわざ来たのか。メールでも良かったのに。 そう思いながらも顔が綻ぶ。やはり嬉しい。 「あたし掃除あるけど、葉は?」 そう聞くと葉は首を横に降る。 「俺、迎えに来ますよ」 葉が優しく微笑む。 あたしは葉のこの顔が、1番好き。 「分かった。よろしくね」 そういいながら、あたしは葉にとびきりの笑顔を見せた。 「お待たせ。で、どうするの?」 「どうするっていうのは?」 そう言いながら、葉は小首を傾げた。 「んっと、このまま帰るのか、どっかで勉強していくのかってこと」 あたしはわざともう1つの選択肢を言わなかった。葉に言わせたい。 そんな自分を少し意地悪だなと思う。 「えと、どっか遊びに行きませんか?」 「遊びに?テスト前なのに?」 葉はうつむき加減で恥ずかしそうに言う。 あたしはそれをもっと見たいと思った。かわいい。 「その、えっと…まだ1週間ありますし……デ、デートと言うか………」 だんだんと小さくなっていく声とは逆に、葉の頬は紅くなる。 かわいくてかわいくて、あたしは葉に抱きついた。 「じゃあどこ行く?」
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