可愛い嫉妬

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「なっ…」 葉の顔が一気に紅くなった。 やっぱりかわいい。 この顔を見たかった確信犯のあたしは、くすくす笑う。 「もぅ、しょうがないですね。玲美先輩は…」 そう言いながらも顔の紅がまだとれない。 「そんなんじゃ……」 葉は何かを呟いたが、声が小さくて聞こえなかった。 「え?何?」 「あ、いいえ。なんでもないです」 そう言って、片手を振りながらもう片手でクレープの包装紙を近くのゴミ箱に捨てる。 あたしも捨てて、葉の腕を揺さぶる。 「何よ。言いなさいよ。言いかけて秘密なんて許さないわよ」 そう言うと葉は分かりました、と困ったように言った。 「その、あんまり他の男子と仲良くしてほしくない、て言うか…すごく楽しそうだったので」 「もしかして…嫉妬してたの?」 葉はコクンと頷いた。 それにあたしは最高の笑顔で頭をクシャクシャ、と撫でてやる。 「心配無用。あたしは葉一筋だよ。それにあいつらあたしに彼氏いるって知ってるし」 「でも…、!」 何か言いかけた葉の口を、あたしの口で塞ぐ。 「これでもまだ信用できない?」 「こんな道のど真ん中で…」 葉は耳まで真っ赤だ。 「これがあたしの気持ち。まぁ友達もすごく大切だけどね。ってことで、少し多目に見て?」 葉が少しムッとする。 「あたし結構さっぱりした性格だし、可愛げないから、男子とつるんでる方が楽なときあるし」 「先輩は、ちゃんとかわいいですよ。だから…心配に…」 「うん」 そう言って抱き着いたあたしを、葉はギュッと優しく抱き返してくれる。 暖かな葉の体温がよりあたしを幸せにする。 「でも、友達も大切だからね?仲良くするのやめないよ?」 そのあと、葉の機嫌を直すのには少し手間取ってしまった。 ――――――――END――――――――
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