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「俺、玲美のこと好きだ。付き合ってくれ」
葉くんは緊張した面持ちで言った。
あたしは内心あたふたした。
ひとつ深呼吸して葉くんを見据える。
「いいよ。…でもね………」
あたしは自分の心の内を明かす。
「それでもいい?」
あたしは済まないなと思いながら聞くと、葉くんは少し考える様子を見せた。
「…分かった。それでもいい」
そう言って承諾してくれた。
それからあたし達は付き合い出した。
「玲美、帰ろうぜ」
「あ、葉くん。ちょっと待ってね。今カバン持ってくるから」
あたしは急いでガバンを取り、葉くんのところへ行った。
「お待たせ」
そう言って微笑みかけると、葉くんも笑ってくれる。
部活が違うから、週に1・2回しか一緒には帰れない。だから葉くんは嬉しそうだ。
何気無い話をしながら並んで歩いていると、葉くんはあたしの手を然り気無く握ってきた。
それは悪い気はしなかった。
だが、その手をそっと振りほどく。
「玲美…」
葉くんは少し寂しそうな顔をした。
「…ごめん……」
「いや、こっちこそ。…それでさ」
葉くんは話を再開する。
別に葉くんが嫌いなわけじゃないの。
あたしはあの、告白された日に言ったんだ。
『でもね……あたし恋愛感情とかって分からないの。葉くんのこと好きだけど、それがどういう好きかよく分かんない』
それでもいい?と聞くと、いいと言ってくれたから……。
けれど、もう付き合い始めて3ヶ月経った。
流石に手も繋がせてくれない、キスもさせてくれないとなるとキツいだろうなぁとは思うんだよ?
そしてあたしも、自分の気持ちに……。
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