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さて指定されている席に座った志由香は、前に座っている彩貴の肩を軽く叩き後ろを向かせた。
「ねぇ、蒼山さん。
“サキちゃん”って呼んでも良い?」
「はい、構いませんよ。
その代わりと言っては何ですが、秋月さんを“しーちゃん”とお呼びしても宜しいでしょうか?」
何時までも敬語を使う彩貴に志由香は『敬語禁止令』なるモノを発令しようと彼女に突きつけた。
しかし…‥彩貴は肩を竦めると、自分の癖なのだと言ってソレを無理矢理破棄させた。
これにより思わず
「固いんだねぇ…‥」
と志由香は呟いた。
だがコレを聞き取った彩貴は首を軽く傾げると、
「硬いと言われましても、きっと金剛石よりは柔らかいですよ。
まぁ、金剛石は意外にも金槌で叩けば砕けると言いますが…‥!」
と何処かズレた返答を返し、志由香は思わず笑ってしまった。
(サキちゃんって真面目だけじゃなくて、天然が入っているのかも知れない…‥!)
彩貴に対して失礼かもしれないが、志由香は彼女にそんな感想を持ったのだった。
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