第1章

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さて指定されている席に座った志由香は、前に座っている彩貴の肩を軽く叩き後ろを向かせた。 「ねぇ、蒼山さん。 “サキちゃん”って呼んでも良い?」 「はい、構いませんよ。 その代わりと言っては何ですが、秋月さんを“しーちゃん”とお呼びしても宜しいでしょうか?」 何時までも敬語を使う彩貴に志由香は『敬語禁止令』なるモノを発令しようと彼女に突きつけた。 しかし…‥彩貴は肩を竦めると、自分の癖なのだと言ってソレを無理矢理破棄させた。 これにより思わず 「固いんだねぇ…‥」 と志由香は呟いた。 だがコレを聞き取った彩貴は首を軽く傾げると、 「硬いと言われましても、きっと金剛石よりは柔らかいですよ。 まぁ、金剛石は意外にも金槌で叩けば砕けると言いますが…‥!」 と何処かズレた返答を返し、志由香は思わず笑ってしまった。 (サキちゃんって真面目だけじゃなくて、天然が入っているのかも知れない…‥!) 彩貴に対して失礼かもしれないが、志由香は彼女にそんな感想を持ったのだった。
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