第三節

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己の野望を果たすためには、こんなところで立ち止まるわけにはいかなかった。 「気の毒だが、王女には死んでもらう」 仮に王女暗殺の件が国王に知られても、国王は自分を罰さないという確信がガルガモにはあった。 国をここまで発展させたのは国王だけの力ではないことを、国王自身が一番理解しているからだ。 なにより、国王が王女の暗殺を命じるのは時間の問題。 しかし、それでは遅いとガルガモは思っている。 『北』が別の手を打ってくる前に事を済まさなければならない。 「陛下もきっと分かってくれるはずだ」 吐き出されたその言葉に焦りの色が混じっていることを、ガルガモは漠然と感じていた。
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