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フェンスを越えてギリギリラインを立ってみる。
頬を掠める風が異様に冷たい。
僕は肩越しに君に目を向ける。
『足震えちゃって無理』
と微笑する僕。
実は高所恐怖症で、君の前で強がって登ったけど、フェンスにかけていた足が震えていたのを見て、たぶん君は笑ってたんだろうね。
ホントはフェンス越えるだけでも、恐怖感は半端なかったんだよ?
「バカだろ?」
と、呆れを含んだ声音と溜め息混じりの君。
『ウハハ、何を今更』
と、とびっきりの微笑を返せば――。
「どうしようもねぇなぁ」
と溜め息混じりに言葉を紡ぐ君も、実は僕が高所恐怖症だから、飛び降りないと踏んで止めなかったのだろう。
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