『鳴らない電話。』

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電話が鳴るのを待っている。朝起きると、君の好きな曲の着メロは流れ終わっていて、絵文字でカラフルなメールをみるのが一日の始まりの合図。 そして おやすみ、の短い電話が明日への励みだった。 聞き慣れない着信音で目が覚めた。五月蝿い。 まだ、寝れるのに…。 学生時代の友達からだった。   マナーモードにし忘れて通勤の電車でまた、既存の着信音がなった。冷ややかな視線に目を伏せた。 昨日、酔っ払って、友達の家にネックレスを忘れた、らしい。   夕方、うとうとしてるところに懐かしい着信音がなった。昔付き合った彼女だ。別れて以来だった。着信音もそのままだったんだ…。とそのとき気がついた。   夜、最近ダウンロードしたばかりの新しい着信音がなった。風呂に入るちょっと前に、多分気をもたれている(であろう)会社の女の子からの悩みを上半身はだかのまま聞いて、少し風邪を引いた。           『鳴らない電話。』     …君は今何してる?        
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