第十話『本当に伝えたかったこと』

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ドアノブに手をかけかけた時 後ろの方から甲高い叫び声が聞こえた きっと自分以外にも路地を歩く人がいたのだろう だがそんな事を気にしてる暇はない パンドラの箱 もしかしたらこのトビラはそれに似たものなのかもしれない ルカ「……え?」 トビラの中には当たり前と言わんばかりに暗い路地が広がっていた 別空間につながっている なんて考えていた自分がバカに思えてきた ただ本当に その場にあった扉を開けただけだったのだ 俺は 呆れたように深くため息を吐き とりあえずトビラをくぐった そして後方に振り返る ルカ「ちっ!」 見えたのは黒い影 頭部に立派な突起物が生えてある 角 だろうか そしてその影はヒトの形を象っていた しかし角以外にヒトとは思えない身体的特徴があった 異常発達している上半身だ 下半身はみすぼらしいほど 痩せていた いや 退化していると言った方が良いのかもしれない 「ふごォォォォ!!」 化物の赤き双眸が光る 俺がじろじろ見てるのが気に入らなかったのだろう 化物はその異常発達した両腕を足として 本来の足をぶらつかせしながら近づいてくる その速度は異常なまでに遅く逃げようとすれば逃げられるほどだしかし ここで普通に逃げてしまっては 主人公としてダメだと思った俺は とりあえず 赤いトビラを閉めた
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