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 力をなくして倒れ込んだ死体の息の有無を確認し、白鬼は折っていた膝を伸ばした。  既に、今日もう何人もの命を奪った白鬼の服は、返り血で真っ赤に汚れている。否、服だけではない。  光を弾く銀糸さえも、今はドス黒い茶色に汚され、見る影もない。  髪にも腕にも付いた血は、異臭を放ちながら滴り、立ち尽す位置に深い血溜まりを作りあげていく。  僅かに切れていた、頬の自らの血を手で拭い、大きな息を吐く。荒れた呼吸を整えるためのものだ。  頭を振って血を飛ばし、白鬼は後ろを振り返った。  次の仕事場に向かおうと、白鬼が死体に背を向けた瞬間。 「白鬼」  突然名を呼ばれ、白鬼は後ろを振り返った。  そこにいたのは、以前にも会った、銀糸の女、癒那だった。 「……また、お前か」 「こんばんは」  嬉しげに口元に笑みを刻み、癒那は白鬼の元に歩み寄る。  見つめる、青空のように澄み渡った碧い空。汚れのない、強く揺るぎないその目に宿るものは、強い意思だ。
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