527人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
鬼。
それは、異端なる存在。人間とは違う、背徳の御子。
生きる術に、人間の鮮血しか見いだせない者。
故に、人はそれを嫌悪し、恐れ、そうしてさげすむ。
『人間などではない』
『人間などでは有り得ない』
そう、呟いて。
卑下され、そして堕ちた鬼。
もう、光になど戻れない。人間として生きていた頃になど、還れない。
何かが壊れ、そうして死んでしまったのだから。
もう、どこにも還れない。
鬼は、ひとりで生きていくしかないのだ。
人間と同一視されることなど、共に生きることなど有り得ない。
人に嫌悪される鬼は、生涯ひとりなのだ。
鬼として生き続ける限り。
では、鬼はいつか人間へと還れるのだろうか……?
最初のコメントを投稿しよう!