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 鬼。  それは、異端なる存在。人間とは違う、背徳の御子。  生きる術に、人間の鮮血しか見いだせない者。  故に、人はそれを嫌悪し、恐れ、そうしてさげすむ。 『人間などではない』 『人間などでは有り得ない』  そう、呟いて。    卑下され、そして堕ちた鬼。  もう、光になど戻れない。人間として生きていた頃になど、還れない。  何かが壊れ、そうして死んでしまったのだから。  もう、どこにも還れない。    鬼は、ひとりで生きていくしかないのだ。  人間と同一視されることなど、共に生きることなど有り得ない。    人に嫌悪される鬼は、生涯ひとりなのだ。  鬼として生き続ける限り。          では、鬼はいつか人間へと還れるのだろうか……?
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