1,左目の痙攣

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  「また甘いもの食べて、太るのはいいけどにきびには気をつけなさいよ。」ルーシーは壁にコートをかけるとマスターに一言、「ホットミルク、砂糖抜きでね」と告げて店の奥――化粧室へと潜っていった。   「ホットミルク?」 せっかく珈琲が美味しいと評判の喫茶店にきているのに、ホットミルク?しかも砂糖抜き?   「ルーシーは珈琲が飲めないんだよ。」マスターがにこやかに、言う。まるまる笑顔。 銅色の小さな鍋に、牛乳をそそぐ。火にかける。 とても愛しく、鍋をゆるやかに回す様。   「意外だねえ。」   私はまた、バナナ味を口に放る。はあ、しあわせ。   スイーツはいつだって女の子の味方。 辛かった思い出とか、楽しかったこと、甘酸っぱい過去、ぜんぶに何かしらのスイーツがくっついてるはず。   じうじう。 鍋が鳴く。   茶色のマグカップに、暖まったミルクを注ぐとなんとなくお母さんのかおりがした。   「いいにおい。」   私はまんまるの笑顔でマスターを見る。 なんだかほっとする一日。
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