プロローグ

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    私は、拒んだ。   何を、って そんなの決まってる。   学校へ行く、と言うこと。   勉強に追いつけないとか、そんな事はない。化学式を覚えるのは好きだったし、将来役に立つとは到底思えない歴史なんて必死になって暗記した。なくようぐいす、とかね。 とりわけ私には世界史というものが肌にあっていたようで、その中でもナポレオンには一目置いていた。   私の辞書に不可能という文字はない、だなんて そんなかっこいい事中々言えるもんじゃない。   きっと私がナポレオンと同じ時代に生きていたら「あのひとは頭がかわいそうなの?」と首を傾げることは必須だ。   世知辛い世の中だからこそ、彼の言葉はかっこいいんだ。それが私の美学。   でも、私の辞書には不可能という文字がきちんとあった。悲しいことに。   誰に貸したときか覚えてないけれど、ご丁寧にピンクのアンダーライン。しかも蛍光のやつ。     いつだって理不尽なんだ。人間関係って。   知ってる?最近はいじめの事、ゲームって言うらしい。   私は選ばれちゃったわけ。   不思議だよね。 気付いた瞬間、もうすべて絶望って感じ。   居られないや、って。 ここには居られないって、私は思った。     だから、   私は、拒んだ。   何を、って学校に行くという義務と権利を。    
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