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「今日は早いね、さっちゃん。」
ぱりっとしたYシャツ、とは程遠い無地のトレーナーを着たひげのマスター。
いつも通りのにこやかな雰囲気で私を迎えてくれる。
「うん、ちょっと今日は、ね。」
私はいつもの一番左の席に座ると、ダッフルコートをイスにかけてブレンドを注文した。
「梶田さん達、さっきまでいたんだよ。」
お湯を沸かしながら、マスターは本日の豆――コロンビアをフィルターに撒く。
「あ、入れ違いかあ。残念。」
出されたおしぼりで顔拭くと、すごくほっとした。おじさんみたいだよって言われるけどこれだけはやめらんない。
「ビリヤードやりにいったみたい。たぶんまた戻ってくるよ。」
「また行ってるんだ、好きだね。」
私はぼんやりと、きれいな瓶に入った珈琲豆たちを見る。マスターが選びに選んだ子たちだ。
「新作のスイーツ、食べてみる?」
私は深く頷いた。
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