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「おい、デブス。こっち見ろよ。」
髪の毛を逆立てながら、私は彼女らを、睨む。
ハーシーズのチョコ、名前を知ってる?
女の子なら甘いものはたくさん知ってなくちゃ。
いい?
まずはハーシーズクラッケルでしょ。
これはね、中にライスクリスプが入っててだいぶ脳髄に微炭酸な感じ。
次にハーシーズミスターグッドバー。
ピーナッツがごろごろと入っていて、小腹が空いたときにぴったり。
忘れちゃいけないのはもちろんハーシーズミルクチョコレート。
あの甘ったるい吐き気が好き。
ちょっと通ならハーシーズスペシャルダークがおすすめ。
甘過ぎず、苦すぎず、ハーシーズの枠を超えたちょっと異端児。
私はこれをハーシーズチョコレートとは思えないの。
「見てんじゃねえよデブス。」
飛んだ椅子。椅子は飛ぶんだ。
飛べない椅子はただの椅子だけど、椅子は飛んじゃいけない。
飛んだ椅子は必ず、硝子の破片になるかもしくは
血が流れる。
チョコレートみたいな色をした私の血液が口中に広がってちょっと嫌だ。
あ、そうだ、死のうっと。
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「シフォンケーキって…」
マスターの背中に私は語りかける。口に入れた瞬間にほのかにバナナの香りが広がる。
バナナは優しい果物だ。
「本当女の子の味方だよね。」
私は二度、言った。
マスターは笑っている。
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