出逢いの春 ─高校1年─

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入院中は、親戚や友人達が何度も病室に足を運んでくれた。 事故前と同じように接して、病室を笑いで溢れさせてくれて、精神的に物凄く助けられた。 けど、裏を返せば腫れ物扱いしていたとも言える。 大事故に巻き込まれて重傷を負った者を目の前にすれば、どうしてもそうなってしまうのは理解している。 だからあの事故の話は一切しない。 俺があの事故の当事者だという事は他言しないで欲しい、と皆にも頼んである。 あの事故の被害者だなんて明かせば、好奇の目で見られるに決まってる。 当時の事を根掘り葉掘り訊かれるかもしれないし、同情や憐れみの目で見られるかもしれない。 安易に首を突っ込まれたくないし、出来る限り思い出したくもない。 身体の傷は完治しても、内側に出来た傷は永遠に完治しないと思う。 俺が見たあの地獄の光景は当事者しか知らないし、当事者以外に解るはずが無い。 一秒たりとも思い出したくないから、誰も何も訊かないで欲しい。    
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