出逢いの春 ─高校1年─

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(しばら)く中須先生と話していると時刻も8時半近くになり、生徒達が続々と登校して来たからか校内が騒がしくなってきた。 「どうする?今から普通に教室行って席に着いてるか?それとも転校生みたいに俺と一緒に教室入って転校生みたいに紹介するか?」 自分の腕時計を見て時間を確認した中須先生がニヤリと笑い、俺に究極の二択を迫る。 知人がいないクラスに一人で入って席に着くか、転校生っぽい登場をして目立ってしまうか、どっちを選ぶのかと。 うーむ。 「ちょっと不安なんで、どっちかっていうと転校生的な方で……」 「よし、分かった。じゃあHRの時間まで此処で待機だ!」 究極の選択をしてから10分程経つと、遂にHRの予鈴が校内に鳴り響いてしまった。 「よし行くぞ、衣野!」 「は、はい!」 中須先生と後に着いて職員室を出て校舎隅のエレベーターに乗り、4階で降りて少し歩くとずらりと並んだ教室が視界に広がり始める。 転校生になった経験が無いから異様に緊張する中、遂に到着してしまった1年2組の教室。 前方のドアを中須先生が勢い良くスライドさせる。 「おはよーう!なんと退院した衣野が今日から来たぞ、お前らー!すんげーイケメンだぞー!」 ニヤリ顔で教壇に立つ中須先生が、余計な前説をして登場ハードルを上げやがった。
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