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「車に撥ねられちゃったんだってねー。超可哀想ー」
「背高いけど何㎝あるのー?」
「ねねね、衣野くんやっぱ彼女いたりすんの?」
朝のHRが終了して中須先生が教室を出て行くと、直後に女子数人が俺の席を取り囲むように集まって来た。
女子達は身体をくねらせ、まるで媚びるように質問を俺に浴びせ掛ける。
転校生的な登場をすると本当にこういう扱われ方をするらしい。
無視されるよりは遥かに有り難いが、集まって来るのは女子ばかりで、肝心の男子達は遠巻きに俺の様子を窺っている。
「中学時代何か部活入ってた!? 」
「ねーねー!彼女いるの?いないのー?」
女子達は質問する割には質問に答える時間を俺に与えず、マシンガン並に質問を絶やさない。
「181!バスケ部!彼女いない歴15年!明智中!牡牛座!O型!」
もうヤケクソになって、聞かれてない事項まで先に息継ぎ無しで答えた。
俺が囲まれたいのは男子なんだよ。
友達を作りたいんだよ。
「え!そんなカッコイイのに童貞なの!? 嘘でしょ!? 」
「超萌えるんだけど!」
ああもうっ!
早く授業始まってくれよ!
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