出逢いの春 ─高校1年─

14/19

39272人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「じゃああたし彼女に立候補しちゃおっかなぁー」 「あ、ずるーい!カナもするー!」 「じゃあ私も立候補」 「はあ?マユミ彼氏いるじゃん!」 「昨日別れたもーん」 こういうの本当に勘弁して欲しい。 俺は(しか)めっ面になって右手で頬杖を着いて顔を逸らし、視線だけでも窓の外に逃げた。 「はいはいはい!お前ら散れ散れ!邪魔邪魔!ウザい!」 突如、直ぐ傍から男子の声が聞こえた。 頬杖を解いて視線を向けると、男子二人がそこにいて女子達をシッシッと手で追い払っている。 「はあ?またあんた?」 「ほら、衣野にもウザがられてんぞ!みっともねーな面食いクソ女」 「はあ!? 」 女子達は鬼の形相で掃けて行き、俺の周囲に残ったのはその男子二人。 「衣野に不釣り合いな顔して何言ってんだって感じだよなー」 その男子の片方が笑顔で俺に声を掛けてくれた。 かなりストレートな暴言で女子達を掃けさせた人だ。 「5組の女子にも美人いるんだけどさ、その子も色んな奴に言い寄られてて大変そうなんだよなー」 「薪森(まきもり)さんな!」 彼等は俺にはよく分からない話を始める。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39272人が本棚に入れています
本棚に追加