出逢いの春 ─高校1年─

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何の事だかよく分からないが、取り敢えず礼を言わねば。 「あのさ、ありがと」 「ああ、いいっていいって。すんげー嫌そうな顔してたし、俺も見ててムカついたから追っ払っただけ」 「えっ!ムカついたって俺に!? 」 「は?いやいやいや!あのミーハー女共にだよ!」 「あ……何だ、良かったぁー」 「あははは!ナイーブだなー!」 安心し切る俺を見て、二人がゲラゲラと笑った。 だってなるべく同性を敵に回したくないんだもん。 「あ、俺は葛西(かさい)。よろしく!」 「安井(やすい)でーす!で、そいつは小木原(おぎわら)!」 安井が「そいつ」「小木原」と親指を指したのは、俺の後ろ。 上半身を後ろへ捻り向けると、俺の真後ろの席に座っている色白でキリッとした端正な顔立ちのイケメンと目が合った。 葛西と安井の友達、という事で俺に紹介してくれたのか? 「小木原?衣野です、よろしく!」 「……どーも」 笑顔を作って明るく爽やかに挨拶すると、小木原は軽く会釈して無愛想な声色の挨拶を返す。 葛西と安井のグループの一員にしては、小木原だけちょっとタイプが違う印象だ。
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