出逢いの春 ─高校1年─

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    「じゃあ今日はここまでー」 「起立!礼!」 「はい、さよならーっと」 帰りのHRが終了して号令が済んだ途端、クラスの生徒達が続々と教室を出て行く。 今朝はどうなるかと思ったが、俺的高校生活一日目を無事に終えられた。 半月しか授業に遅れてないし、今日の授業は着いていけた……ような気もしないでもない。 友達も出来たし、遅れてやって来た高校生活のスタートは好調だ。 「衣野ー!歓迎会してやるからカラオケ寄んねー?」 「え、マジ?行く行くー!」 この脚なのに寄り道するなんて早速母さんに怒られそうだけど、葛西達が歓迎会を開いてくれるというなら行くっきゃない。 俺がこんな脚でも仲良くしてくれるのに、断ったらバチが当たる。 葛西と安井と小木原と俺の4人は揃って教室の外へ出た。 「あっ」 教室から廊下に出た直後、安井が突然声を上げて立ち止まった。 「ほら衣野!あれが朝話した5組の薪森(まきもり) (さくら)だよ!」 「へ?薪……?」 安井が俺の腕を軽く引っ張りながら何処かを指し、俺は安井が指差す方向を目で辿った。 安井が指す先に在ったのは、朝のあのフランス人形の彼女の姿だ。
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