出逢いの春 ─高校1年─

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小木原が言った内容よりも、無口な小木原から唐突にフォローされた事の方に驚いた。 「え……あ、そうなの?」 「ああ」 小木原は無表情のまま軽く頷き、また俺から少し離れた。 立って並ぶと、小木原の身長が俺とそんなに変わらない事に気付く。 そういえば、彼女は敢えて他人と距離を置こうとしているような気がする。 何ていうか、誰かと話をするのも嫌そうな。 「ま、いいや!つーか早くカラオケ行こーぜ!」 葛西が歩き出すと安井も動き、続いて小木原も歩き始めた。 だからここは俺も気持ちを切り替え、彼女に逃げられた理由を深読みするのを()めて取り敢えず松葉杖を前へ動かす。 フランス人形みたいな顔。 光が透けると黄金色になる、栗色のロングストレートの髪。 透明感があるソプラノボイス。 無表情、素っ気ない言葉。 桜の木の下にいた儚げな女子高生。 桜吹雪の中にいた同級生。 薪森 桜。 それが彼女の名前。 俺の人生を変える事になる、唯一無二の女性。      
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