慕情

3/14

39272人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「自家用車は怖くねぇよ。内装全然違うし」 悟られたくて、気にしていない振りをして答える俺。 「その車が大っきい通り走っても?」 「全然平気」 「じゃあ車の免許取る?」 「当然。男は免許取ってマイカー持ってナンボだろ」 丸椅子を立って松葉杖を両脇に挟み、じっと俺を見つめている彩芽の視線を振り切るように先に玄関から外へ出る。 彩芽が何を思っているのか、何となく解ってるから。 「ほら、早く出て鍵締めろよペチャパイ」 嫌な話題から大きく逸らす為、俺はわざと彩芽を挑発するような事を口にした。 すると思惑通り、彩芽は一瞬にして顔を引き攣らせる。 「ペチャパイじゃないし!てかまだ中2になったばっかなんだから胸小さいの当たり前じゃん!」 ぷんぷん怒りながら玄関のドアを施錠する彩芽。 中2にして165㎝以上の身長があるが、バストサイズは中々成長しない事を気にしている。 「果たしてほんとに膨らむのかねー?その胸ー。膨らむといいけど、どうだかなぁー」 俺は彩芽に勝った気分になり、ニヤニヤしながら挑発を続けた。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39272人が本棚に入れています
本棚に追加