慕情

4/14

39272人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「妹の胸の成長ばっか気にするなんてド変態にも程があるね。早くシスコン卒業してよ」 彩芽は哀れむような眼差しを俺に向け、溜息混じりに俺を挑発し返して車へと歩き始めた。 「シスコンじゃねぇよ!勘違いすんなビッチ!」 「きゃあ!」 俺は左手の松葉杖を持ち上げ、松葉杖の先で彩芽の制服のスカートを後ろから捲ってやった。 すると彩芽は両手でスカートの裾を押さえ込みながら勢い良く振り返り、凄い形相で俺を睨み付けて突進して来る。 そしてギプスの先から出ている俺の右足の指をローファーの爪先で軽く蹴りやがった。 「ぎゃああああ!何すんだよ!? 」 「ビッチとか言うからじゃん!」 「骨ずれた!絶対ずれた!」 「るっさいな。折れてないとこ軽く蹴っただけでしょ」 「てめー障害残ったらどうすんだよ!マジふざけんなよ!」 「あんたがセクハラするからじゃん!」 「兄貴に『あんた』言うな!」 「じゃあ『お前』!」 「何騒いでんのよ、あんた達!早く乗りなさいよ!」 玄関先で怒鳴り合いを勃発させる俺達を、車の運転席から母さんが怒鳴り散らす。 妹とのこういう下らない喧嘩は日常茶飯事。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39272人が本棚に入れています
本棚に追加