慕情

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やっぱり小木原は格好良い、と結論付けてしまう。 何故なら昨日の放課後、4人で学校の近くに在るカラオケに行った時も思ったからだ。 昨日は知り合ったばかりの仲だったけど、葛西と安井はノリが良くて俺と気が合っていた。 有名なアニソンや演歌、ロックやヘビメタやポップスを声が潰れるほど歌い騒ぎ、3人にとっては楽しい3時間。 しかし一方の小木原は俺達とは真逆で、「知ってる歌無い」とクールに断って一曲足りとも歌わなかった。 ただ俺達のカラオケを黙って聴いて、俺達が繰り広げる馬鹿話を黙って聞いていただけ。 葛西と安井は「ノリ悪過ぎ」と小木原に顔を引き攣らせていたが、俺は小木原のその独特な雰囲気に無性に憧れた。 『荻原』じゃなく『小木原』という何だか格好良い字面に思える漢字三文字の苗字、『(りょう)』という漢字一文字の格好良い名前。 異様に姿勢が良くて表情や喋り方も威風堂々としてるから、陰キャとかコミュ障とかいう類いの感じはない。 無口で大人しいのに、その存在感や男の色気は圧倒的で、小木原は俺の理想像そのものだとまで思った。 こんなにカリスマ性を感じさせる高1男子が存在するのかと。
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