出逢いの春 ─高校1年─

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退院も通学も全て自分の我儘で決めた事だし、必要以上に心配する母さんの気持ちも解る。 けど、右脚の骨が折れている程度なら外でも普通の生活が出来ると証明したい。 「よし、行くか」 真新しい学ランの学生服に身を包んだ俺は改めて気を引き締め、松葉杖を突きながら正門の奥へと突き進んだ。 広大なグランドを通り抜けてやっと校舎に辿り着くと、今度は玄関にずらりと並ぶ1年生用の下駄箱の中から“衣野”という札が入った場所を探す。 どうにか自分の棚を見付けると、左足を上靴に履き替えて外履きを仕舞って戸を閉めた。 次は職員室へ行って()ず担任教師と話をしなければならないわけだけど、職員室が何処にあるのかさっぱり分からない。 校内見学と入試の時にも来たものの、職員室には行かなかったから場所を知らない。 しかも渡り廊下の向こう側にも校舎があるような広さの学校で、校内の地図でも壁に貼ってあれば有り難いけどそれも見当たらない。 まあ時間はまだあるし、職員室は比較的見付け易い場所にあるもんだし、適当に移動していれば見付かるだろう。 取り敢えず、渡り廊下の窓から校舎の造りでも確認するかな。
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